国防の基本 2015 5 31

 自分の国は、自分で守る。
これが、世界の常識です。
 たとえば、日本の国土が攻撃を受けたら、
日本が自力で国土を守る。
世界の常識からすれば、そうなります。
 万が一、日本が自力で守ることができなくなったら、
同盟国であるアメリカが駆けつけて、後方支援するでしょう。
これも、世界の常識からすれば、当たり前のことです。
 問題は、日本が貿易国家であることです。
原油や天然ガスを中東からタンカーで運ぶ。
食糧や地下資源を世界各地から輸入する。
 こうなると、海上交通路も、国土に準じて、
日本は守らなければなりません。
 たとえば、原油については、
海上交通路は、どうなっているのかというと、
南シナ海、マラッカ海峡、インド洋、ペルシャ湾となります。
 こういう海上交通路も、
日本は、国土に準じて、守らなければなりません。
 アメリカが守ってくれる?
とんでもない。
なぜ、アメリカは、日本の海上交通路を守る必要があるのか。
その理由は、全くありません。
 ここで、評論家や学者は、
「日本には、憲法9条があって、軍事的な行動ができない」という泣き言を言うのでしょうが、
このような「子供の論理」は、全く通用しません。
 普通のアメリカ人で、日本の憲法9条の特殊性を知っている人はいません。
アメリカの日本研究者ならば、日本の憲法9条の特殊性を知っているかもしれません。
(我々日本人が、アメリカ合衆国憲法の各条文を知っていますか)
 だから、普通のアメリカ人は、こう考えます。
「日本は大国だから、
当然、自分の国は、自分で守るだろう。
もちろん、日本が負けそうになったら、
我々アメリカが駆けつけて、後方支援する」
 日本は、世界第三位の経済大国です。
その上、世界最大の債権大国でもあります。
「このような超大国では、自分の国は、自分で守るだろう」と考えるのが、世界の常識です。
 世界には、中小の国が、たくさん存在します。
そういう中小の国から見れば、日本は超大国に見えます。
 だから、アメリカが老いて動けなくなったら、
日本が世界の安全と平和を守ってくれるだろうと期待するのは、自然です。

8800億円の請求書 2014 11 30

書名 アメリカはいつまで超大国でいられるか
著者 加藤 英明  祥伝社新書

 アメリカ人が、著者に、こう尋ねた。
「アメリカが中東の石油を必要としなくなったら、
今は、ペルシャ湾の自由航行を護るために、
第五艦隊を貼り付けているが、撤収することになるね。
年間80億ドル(約8800億円)も、かかっている。
 アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、
日本が、その後を引き受けてくれるかね?」
(以上、引用)
 アメリカでは、時々、国防長官の交代がありますが、
誰が次の国防長官になっても、
国防予算をどう削減するかが、重要な仕事です。
 一方、アメリカでは、シェール革命により、
世界最大の「産油国」になることが有力視されています。
 さあ、日本は、どうする。
海上自衛隊の大艦隊をペルシャ湾に駐留させるのか。
それとも、毎年、必要経費をアメリカに支払うのか。
 もちろん、サウジアラビアも、
アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、大いに困ることになるでしょう。
 なにしろ、ペルシャ湾を挟んで、
中東の軍事大国であるイランと対立しているからです。
サウジアラビアは、人口が少ないので、
どう頑張っても、軍事大国になることはできません。
 もちろん、ひとつだけ方法があります。
核兵器を開発しているイランと同じように、
サウジアラビアも、核兵器を開発するか買うという方法があります。
 ただし、核兵器を開発するにしても、買うにしても、
ハードルが高いものとなります。
 そうなると、サウジアラビアと日本は、
ペルシャ湾をめぐって、お互いに軍事同盟を必要とする国になりますか。
 アメリカは、シェール革命がなくても、
「あんな危険なところから引き揚げたい」というのが深層心理でしょう。
 アメリカは、キリスト教国です。
聖書の最終章には、恐ろしいことが書いてあります。
どう読んでも、人類にとって「最終的な戦争」は中東で起こると読めます。
こうした聖書を子供の頃から読み聞かされてきたアメリカ人にとっては、
中東の石油を必要としなくなったら、早く引き揚げたい気分でしょう。
 Lexus-A時代を、日本は、どう生き残るのか。
「Lexus-A」とは、 東京大学准教授の池内恵氏が作った言葉です。
 これは、「League of Ex US Allies」の略であり、
日本語では、「元アメリカ同盟国連盟」だそうです。
サウジアラビア、トルコ、イスラエル、日本、さらに英国がメンバーらしい。
 おそらく、アメリカ本土が攻撃されない限り、
アメリカは動かないと考えておくべきでしょう。
それが、同盟国の、いや元同盟国の心得でしょう。


































































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